心と体の勉強会 音声テキスト

自律神経を乱す原因は「感情の抑圧」

2019年4月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.1

症状は体からの信号

うつや肩コリ、不眠、そういった色々な症状というのは「体は今こういう状態になっています」という体からの信号です。
つまり、症状というのは本来とっても良いものなのです。
そうはいっても、症状というものは不快ですから、嫌ですよね。
では、どうして症状が現れるかというと、一言で言うと、何かがあるのです。
何かというのは、色々ありますが、これを1つにまとめて、ストレスとお考え下さい。
ストレスが発生すると、症状が現れます。
では、ストレスの前には何があるかといいますと、なにかしらの出来事があるわけです。
例えば、通常は免疫が働くので風邪は引きません。
しかし、「疲れた」という出来事があり、免疫が落ちていると風邪のウィルスに感染してしまいます。
この場合は「ウィルス」と「疲れた」という出来事がストレスです。
そうすると風邪の症状が出てきます。

感情の抑圧

何のストレスもないはずなのに、体調が崩れる。色々な症状が入れ替わり出てくる。
どうしてなのか疑問ですよね。
簡単に説明すると、何か抑圧しているものがそこにあるわけです。
それは、「怒り」と「悲しみ」という二大感情です。
これに付随するものは沢山あるのですが、怒りと悲しみを抑圧したときに、どんどんその感情が溜まっていきます。
そして、その感情が溜まるのは自分の身体の「壺」の中で、「蓋」が筋肉です。
つまり、抑圧した感情というのは壺に入るのですが、蓋が開いたら出てきてしまいます。
ですので、筋肉をぐっと緊張させる事で、出てこないようにしています。
すると、感情はエネルギーなので、感情が出せないと、エネルギーも出せなくなってしまいます。
やる気というのも一つの感情です。

例えば、怒ったときも、文句を言いながら、ものすごく仕事をしたりするときがありますよね。
そういう場合は怒りのエネルギーを仕事に向けているわけです。
泣くというのは悲しみの場合の感情表現なのですが、泣いているとエネルギーがなさそうに見えますよね。
そういう時はエネルギーが内側に向いています。
逆に、怒りというのは外側に向いています。

通常、怒りというのは攻撃するか逃げるかなのです。
なぜかというと、怒りというのは自分や自分の大切なものが害を受ける、害を受けるかもしれないという危機に抵抗するためのエネルギーなのです。
怒りというのは自分を守るためのものです。
感情は自分を守るためのものですが、怒りの場合は外に対してエネルギーを使い、悲しみの場合は自分に向けてエネルギーを使って自分を癒やそう治そうとしています。
ですので、しくしく泣くときはもう動かなくなりますよね。
動くというのは外側に向かってエネルギーを使っています。
内側に向かってエネルギーを使うというのは内臓が動き出して体を修復するわけです。

感情の抑圧は症状として出てくる

怒りや悲しみといったエネルギーはあればあるほど、外に出ようとします。
それを筋肉で押さえ込んでしまい、蓋をしてしまうことを「抑圧」といいます。

例えば、筋肉で怒りという感情を抑圧すると緊張状態になります。
感情を抑え込むのと同時に、エネルギーを押さえ込んでいる状態です。
そして、エネルギーを押さえ込み続けてしまうという状態がうつです。
エネルギーが、自分に対しても、外に対しても使えなくなっているのです。
ですので、抑圧が強すぎるとエネルギーが押さえ込まれて、外に対して働かせる事も出来ず、自分を癒やすためにもエネルギーを使えません。

ただ、そうせざるを得ないときがありますよね。
例えば、女性は昔、「おしとやかでいなさい」という教育を受けた方も多いのですが、男性の場合は「男のくせに泣くな」という教育を受けています。
そうすると、女性は怒るという事にブレーキを掛けてしまい、男性は泣くという事にブレーキを掛ける癖がついてしまいします。
とはいえ、これはもう仕方がありません。
仕事中にものすごく怒ったり、ものすごく泣いたりしたら、感情的な人だと言われてしまい、社会人として失格の部類に入ってしまいます。
ですので、そういう風にならないように自分を抑圧していく、自分の感情を我慢するということが社会で生きてく上で必要なことなのです。

ただ、なんでもそうですが、やりすぎると、エネルギー量がどんどん少なくなります。
すると、体は今こうなっているという信号が出ます。それが症状です。
壺に少しくらい貯まっていても問題はありません。
壺からあふれ出そうになるまでやってくると、症状が出てきます。
そして、こういった身体症状は行動に出る場合もあります。
例えば、食べ過ぎてしまうとか、アルコールを飲み過ぎてしまうとか、ギャンブルをやってしまうとか、煙草を吸ってしまうとか、果てまではドラッグまでいってしまう。そういう行動に症状が出る場合もありますし、体に症状が出る場合もあります。

感情と自律神経の関係

感情エネルギーというのは2つに分かれます。
怒りは交感神経。悲しみは副交感神経。交感神経は、脳や体を活性化させます。
ですので、それを抑圧すれば、活性化しなくなります。

副交感神経は体を回復させます。
疲労を回復させたり、病気を治したり怪我を治したりします。
つまり、これが働かなくなると、体は治りにくくなってしまいます。
ですので、怒りも悲しみも本当は沢山出すことで、生物学的には元気になるのです。

例えば、パニック発作の際に最終的に倒れてしまうのは血圧がガクンと下がってしまい、血圧が上げられなくなってしまうからなのです。
例えば、月曜日の学校の朝礼のときに7月くらいになると倒れちゃう方いますね。
そういう子は交感神経を緊張させられず、血圧を上げる事ができないのです。
そして、そういう子はあんまり怒らない大人しい女の子ですよね。
怒りという感情は出すべきものではないという教育を受けると、過剰に我慢するようになってしまいます。そうすると血圧も上がらなくなります。

ちなみに血糖値を上げるというのも重要になります。糖分というのはエネルギーになります。
糖と酸素がくっつく事でエネルギーになるのですが、交感神経が血糖値を上げています。
交感神経が上がらないと血糖値も下がってしまい、頭が働かなくなります。
そして、筋肉とかを動かすのがだるくなってしまいます。
だるいというのはエネルギーの総量が足りていないのです。生物的に。
心の問題などもあるかも知れませんが、それを除いて、体として、酸素の量と糖分の量が足りていないのです。
だからといって糖分を摂ってしまうのはあまり良くないのですが、それについては後でお話します。
交感神経が働かないと、血圧や血糖は上がってきません。
逆に副交感神経が働かないと、血圧、血糖が上がったままになってしまい、血圧、血糖を下げることが出来ません。

例えば、食事で気をつけているのに、糖尿病だとお医者さんに言われたという方がいらっしゃったとします。食事に気をつけているのにどうして?と思われるかもしれませんが、交換神経が上がりっぱなしだと副交感神経が働かなくなってしまい、糖尿病になる可能性があるのです。
ですので、交感神経も、副交感神経もちゃんと働かせる必要があります。
交感神経を働かせるためには運動を、副交感神経を働かせるためにはリラックスをするべきなのですが、とどのつまり、怒りや悲しみといった感情が出せるかどうかが大切なのです。

そして、交感神経というのは怒りだけじゃなくて喜びというのも交感神経の感情なのです。
例えば来年、オリンピックがありますけど、会場行ってワーっと盛り上がりますよね。
そういう時にワーって一緒に喜ぶっていう事も交感神経なのです。
逆に、安らぐ、懐かしむという感情は副交感神経が働きます。
いぇい!懐かしいぜ!なんてハイテンションにはなりませんよね。
懐かしいなぁ…っていう感じでトーンダウンしますよね。
僕は患者さんに、昔よく読んでいた漫画を改めて読んでもらう時があります。
それは懐かしむという事と、楽しかった当時の思いを感じてもらうためなのですけども、そうすると交感神経と副交感神経が少しずつ働き始めるのです。

うつは交感神経も副交感神経も働けていない状態

感情を抑圧してしまうと交感神経も副交感神経も働けなくなります。
交感神経も副交感神経も働けない状態がうつです。
例えば、昼間働いたり、学校行ったり、家事しなきゃいけないですよね。
そうすると無理にでも活動しなければならないのですけども、感情抑圧すると、交感神経が抑圧されるから活動が出来ないのです。

じゃあゆっくり休めるのかといってもゆっくり休めないのです。
副交感神経の感情が働かないと副交感神経が働けないため、感情を抑圧していると眠れません。
だからうつの人たちは動けないし、よく眠れません。

しかし、自律神経を働かせればぐっすり眠れます。
そのためには、怒りとか喜びとか悲しみとか懐かしさ、そういった感情を出す必要があります。
例えば、怒ってばかりの人は交感神経が過剰に働いています。すると、そういう人は元気だけど眠れないという状態になります。しかし、この状態は長く続きません。体が生理的に持たないのです。

動くということは必ず老廃物が出ます。車の排気ガスと一緒です。
老廃物をきれいにしなきければならないのですが、そのきれいにするのは副交感神経ですので、副交感神経が働かなかったら、いつか老廃物で体がいっぱいになって、動けなくなってしまいます。
それが大体45歳~50歳辺りで出てきます。一生懸命働いてきた中年期のおじさんがうつになってしまうのはこれが原因です。
元々エネルギー量はあるけれども、どんどん年を重ねてくるごとに、エネルギーが段々少なくなってきてしまい、副交感神経が働かないために、老廃物で体がいっぱいになって動けなくなってしまう。そして、副交感神経を働かせようとするけど、そういう人達は泣かないのです。
私49歳ですけども、私より上の世代は泣くなって散々言われながら、泣きそうなことをされてきたので、泣くということに対して防衛があるのです。
これは女性の怒りとかもそうなのですけが、特に男性は眼輪筋の緊張が強いのです。
涙が出る涙腺という穴があるのですけど、そこを眼輪筋で締めて涙が出ないようにする。
そういう特殊なことをやるわけですよ。
じゃあどうすればいいか。
運動や声を出すといった筋肉を使う事で、交感神経が刺激されると同時に、怒りの溜まったエネルギーも外側に出せます。
運動が良いというのはこういう事です。
声というのも横隔膜や喉の筋肉を動かす事で出しています。
つまり、声を強く出せるということは筋肉が強く動いているということになりますので、野球やサッカー観戦などで大きな声出すことはとっても重要なことなのです。

副交感神経はコンタクト。接触がとても重要なキーワードです。
接触とは、皮膚の接触もあれば、アイコンタクトもあります。
お手紙もあるし、最近であればメールとかSNSで繋がるとか。そういう繋がりが副交感神経を働かせてくれます。
整体を受けて、治療を受けている方もいらっしゃるかと思いますが、触れるという事だけでも、治療になっているのです。
友人とのコミュニケーションで触れる場合なんかも副交感神経が働きます。

皮膚接触やつながりが副交感神経を活性化させる

皮膚の接触はとても重要で、例えば、皮膚接触がない状態でミルクをあげ続けても赤ちゃんは生きていく事が出来ません。
栄養だけではなく、重要なのは刺激です。人が生きて行くには酸素と栄養と刺激が必要です。
刺激というのが神経や脳を活性化してくれます。
栄養だけ与えても脳は活性化しないので脳の根本である自律神経の機能が低下していって、生命を維持できなくなってしまう。
その刺激で一番敏感なのが皮膚です。皮膚は最大の臓器なのです。

例えば皮膚を剥がして丸めたら肝臓より大きいのです。
皮膚はセンサーであり、受容器です。センサーがいっぱい付いているのですね。
ですので、例えば目をつぶって誰かに皮膚を触られても分かりますよね。
例えば腕を垂直に上げていても、上げている事は分かりますよね。
色んな神経が皮膚には備わっているので、皮膚のコンタクトっていうのは凄く重要になってきます。
ただ、皮膚だけではなくて大人になってくるとアイコンタクト、言葉でのコミュニケーション、そういうのが凄く重要になってきます。
引きこもるっていうのも凄く重要なのですけど、自分がコンタクトを取りたいっていうときにコンタクトが取れる相手がいるっていう事は凄く重要です。

コンタクトっていうのは繋がりなのですね。
だから実際コンタクトしなくても手紙やSNSでもいいとお伝えしましたが、繋がっているのは人間でなくてもいいのです。
動物でもいいのです。犬とか猫とか爬虫類とかトカゲとかでもいいです。
魚とか植物とかでもいいです。最終的には犬のぬいぐるみや物でもいいのです。
頭の中で変換していますから。
可愛いぬいぐるみとかをぎゅっと抱きしめたりするだけで肌触りや抱き心地などで安心出来るのですね。

そういうコンタクトは副交感神経を働かせるためにとても重要です。
ですので、抱き枕とか、着る物を肌触り良いものにするとかも重要です。
そうする事で、抑圧された感情というのを外に出して、交感神経も、副交感神経も働くようになると、勉強や仕事などでしっかり動けて、夜はぐっすり眠れるようになります。