第4章 自律神経失調症・うつ病の対策 ストレス別
ストレスで疲れた体を修復する睡眠

ストレスで疲れた体を修復する睡眠 不眠症対策

 自律神経失調症やうつ病の一番の対策はぐっすりと眠ることです。
しかし自律神経失調症やうつ病になると、不眠症(第2章でご説明した入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)になる方が多く、なかなか眠れません。

 

 なぜ眠れないのでしょうか。
それは動く神経が働きすぎであったり、休む神経が働けなかったりしているからです。
通常は夜になれば眠くなるのですが、自律神経失調症やうつ病の方は、夜になってもなかなか休む神経が働いてこないのです。

 

 また、うつ病の方は夜のほうが元気になるという昼夜逆転現象が起こります。
そのため不眠症になりやすくなります。

 

 ですから、こういった方には不眠症対策として寝る準備が必要となってきます。
寝る準備と行っても布団を敷くことではありません。
脳と体を寝るのに適した状態にすることをいいます。

寝る準備① 光に気を遣う

 まずは、光に気を遣ってください。
通常、昼間は動く神経が働いています。
そしてその時間の光は無色透明です。
昼間の太陽の光は無色透明です。
ですから無色透明の光は、動く神経を働かせる効果があります。

 

 さて、あなたの家の夜の光は何色でしょうか?
多くの方は蛍光灯を使っているため、無色透明に近い色の光だと思います。
つまりそれは、昼間の光の色と一緒です。
あなたの家は夜でも昼間になっているのです。
これでは寝る準備ができていません。

 

 蛍光灯のほかにもテレビやパソコンなどの光があると思いますが、これらはいろいろな色を放っています。
光はいくつもの色が混じると無色透明になります。
つまり、ここでも昼間の光が放たれているのです。
これでは眠れなくなって当たり前です。

 

 それでは電気を消せばいいのかというとそうではありません。
人間は、急に真っ暗の状態になると無意識に恐怖感を覚え、休む神経が働けない時があります。
そのため暗くするにも順序があります。

 

 ちょっとここであなたに質問です。
日が沈む頃の太陽の色は、どんな色をしているでしょうか? そうです、オレンジ色っぽい色をしています。
これは人類が誕生する前からもうそろそろ休む神経が働き、リラックスする時間ですよ」という自然からのお知らせなのです。
オレンジ色の光は休む神経を働かせ、気分をリラックスする作用があるのです。

 

 人間は電気が発明されるまで、たき火などで光を作っていました。
たき火の色は何色でしょう? そうです、これもオレンジです。
我々の遺伝子には、「オレンジ色の光はリラックスする時間である」ということが遺伝子に深~く刻まれているのです。

 

 ですから、不眠症の方は寝る2~3時間前からオレンジ色の光を発する電球の光の中で過ごすことをおすすめします。
今は安くてオシャレなスタンドがありますので、2~3個買っておくことをおすすめします。
もちろん、その時間からテレビやパソコンはつけないようにします。

 

 ずい分前になりますが、子ども向けアニメ番組で派手にチカチカとさせる光を出したため、子どもが引きつけ等を起こしたということがありました。
あれは動く神経の過剰緊張が起こしたものと考えられます。
子どもは自律神経が発達していないため、光により動く神経が必要以上に働き、ショック症状を引き起こしてしまったのだと思われます。

 

 若者が踊るクラブなどで照明をチカチカさせるのも、動く神経が働き興奮するからなのです。
クラブの方のお話だと、たまに倒れてしまう女性もいるそうです。

 

 話は少しずれましたが、「光」というのは自律神経にとても影響するものです。
それだけに光をうまく使うと不眠症も改善されると思います。

寝る準備② 日中に太陽の光を浴びると眠れる!

 さて、夜の光のことをお話ししてきましたが、自律神経失調症やうつ病の方には、昼間の光もとても大事です。
昼間に太陽の光を適切に浴びると、夜に眠りやすくなります。
太陽の光は目から入り、脳に現在が昼間だということを知らせ、目を覚まさせるのですが、この時に脳の中の時限装置が働き始めるのです。

 

 太陽の光が目に入ってきてから約2~5時間後に、脳の中にメラトニンというホルモンが流れ出します。
我々がぐっすり眠れるのは、このメラトニンというホルモンのおかげなのです。
このメラトニンは、昼間に太陽の光を浴びていないと、夜になっても出にくくなってしまうのです。
あなたは昼間、どれくらいの時間、太陽の光を直接浴びているでしょうか?

 

 ちなみにガラス越しでは効果が薄いといわれています。
多くの方は、昼間は屋内にいますので、直接太陽の光を浴びる時間が少ないと思います。
不眠症の方は、お昼休みの時間などを利用して、散歩がてら屋外に出てみてはいかがでしょうか。
日陰でも室内よりはかなり効果的です。

寝る準備③ 日中の動く神経の働きを刺激しないようにする

 寝る準備の三つ目として、先ほど説明したカフェインを摂らないようにします。
また、昼間に興奮しすぎないようにするのも大切です。

 

 カフェインを摂らなくても、昼間に興奮しすぎたら同じことになってしまいます。
ストレスから遠ざかるとともに、スポーツ観戦や格闘技観戦、ホラー映画やサスペンスなども見ないようにしてください。

 

 先ほどお伝えしたように、自律神経は他人と自分の区別がつかないため、他人のしていることを見ているだけで自分が興奮してしまうのです。
そのため、興奮するような映画やスポーツを見ると、動く神経のスイッチが入り、休む神経が働かなくなってしまうのです。
この状態では不眠症は改善しません。