症状別対処法レポート

自分らしく生きるために

更新日:2019.07.15
執 筆:整体師 山下国彦

不調の原因は自分を抑え込むこと

アダルトチルドレンの多くは、幼少時に親が期待している事をいち早く察知して行動し、親の期待に応えることで認めてもらい、愛情を注いでもらえるよう必死に頑張ります。
そうした親の期待に応える事が生きる上での最優先事項となってしまい、自分自身の欲求は後回しにされてしまいます。

こうした自分自身の欲求を抑え込むことが幼少時に染みついてしまうと、大人になっても無意識で欲求を抑え込むクセがついてしまい、ありのままの自分を出せず、やりたい事を我慢しながら生きるようになります。
こうした抑圧は体の筋肉の緊張を生み、血流の低下や脳の興奮状態を引き起こし、自律神経を大きく乱してしまいます。
すると、めまいや耳鳴り、不安神経症、不眠症、息苦しさといった自律神経失調症にも繋がっていきます。

そして、そうした抑圧状態が続いてしまうと、体は休みたいのに、脳はもっとやらなければ、もっと頑張らなければと自分自身を奮い立たせようとして、体を休めることが出来なくなってしまいます。
こうした自律神経が乱れた状態が長く続くと、身体と心の疲弊状態が限度を超えてしまい、うつ病に繋がる危険性もあります。

ご自身で自覚がない場合でも、うつ、不安神経症、息苦しさといった自律神経の乱れからくる症状がある場合には、アダルトチルドレンが隠れているケースもあります。
アダルトチルドレンと自律神経は密接に繋がっているのです。

体と心を整える

では、そのような不調を改善するには、どうすれば良いのでしょうか。

体の緊張を緩める

アダルトチルドレンは自分自身の感情や気持ちを無意識に抑圧する癖があるため、体の力が抜けずに筋肉の緊張が起こりやすいです。
そうしたときに有効な手段として整体があります。

整体によって体の筋肉の緊張を緩め、血流を良くすることで、体の緊張が緩み、体の力が抜けやすくなります。
すると、体の緊張が緩むことに伴って精神的な抑圧も緩み、柔軟な思考がしやすくなり、特有の生きづらさや苦しみを緩和してくれる効果が期待できます。

アダルトチルドレン特有の抑圧は自律神経を乱し、体の不調へとつながっているケースは沢山あります。
そうした体の不調はさらに自分自身の心を疲弊させてしまい、より一層生きづらさを強く感じさせます。
悪循環から抜け出すために整体を受け、体から変えていくのはとても効果的です。

自分の心に気づく

感情や欲求というものは、長年表に出さず、抑え込んでいるとドンドン錆び付いてしまいます。
そのため、普段から適度に出さないと、いつの間にか自分の感情や欲求というものが分からなくなってしまいます。
今現在の自分の感情、欲求が分からない場合は、頭ではなく、体の声を聴いてみましょう。
頭は嘘をつきますし、様々なルールに縛られることもあります。
しかし、体は正直です。

ごはんを食べたい、友達と遊びたい、眠い、ドキドキする、イライラする、体が痛い、足に力が入らない、体が緊張している、体がうずうずする、もやもやする、ゆっくり呼吸をしている、元気が湧いてくるなど。
体がその時感じるものこそ、私たちの感情であり、私たちの欲求なのです。

毎日のあなたの身の回りの出来事、あなたの周りの人たちに対して、あなたの体はどんな感情、欲求を持っているでしょうか。
きっと、心地よく感じているのであれば体は生き生きとしてそちらへ向かいますし、もし、居心地が悪いと感じているのであれば体は遠ざかろうとします。
そうした体の声に気づいてあげてください。

あなたの感情はあなただけのものです。
その存在に気づいて、ありのままの自分を受け入れることが自分を取り戻すために必要な作業なのです。
自分が感じていることを大切にしましょう。

おわりに

アダルトチルドレンは、幼少時に我慢せざるを得なかった感情や欲求を心の奥に封じ込めて生きています。
しかし、子ども時代に我慢しなければならなかった事を、今はもう我慢しなくても良いのです。
自分自身の心と体の声に耳を傾け、欲求や感情を満たしてあげましょう。

冒頭でお伝えしたとおり、アダルトチルドレンは病名ではなく、自分自身の本質を探し出すための1つのキーワードに過ぎません。
自分を見つめ直すときの手助けとして、アダルトチルドレンという言葉があるのだという事を忘れないようにしてください。

参考文献
・「アダルト・チャイルドが自分と向き合う本」
 発行 アスク・ヒューマン・ケア
 編集 アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター

・「アダルト・チャイルドが人生を変えていく本」
 発行 アスク・ヒューマン・ケア
 編集 アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター

・「父親から愛されなかったあなたへ」
 発行 ギャラクシーブックス
 著者 大堀亮造