心と体の勉強会 音声テキスト

うつの対策は体でストレスを感じること

2019年8月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.2

目次

  1. 体で感じることの重要性
  2. フリーズ状態とは何か?

4.体で感じることの重要性

参加者:「旦那に、そんな事で怒るなんてキチガイみたいだなんて言われてしまうので、余計押さえ込んでしまっています」

旦那さんは冷静な方ですね。
人が過敏になりすぎてしまうとどうなるか。感じないっていう方向に行きます。
これは、失体感症っていって立派な病気です。
だから、音が鳴っても気にしないというのは交感神経が高まっている可能性もあるのですが、感じないようにしているって言う可能性もありますね。
感じないようになるとどうなるかと言うと…
例えば、ストレスも感じないですけど、喜びも感じなくなっちゃうんですよ。

だから楽しいことはあんまりないっていう。そういう風になるとストレスも感じられないんですけど、喜びも感じられない。
感じるっていうことは辛いことも感じるけども、楽しいことも感じる。嬉しいことも感じる、苦しいことも感じる。
これは道徳の話しではなくて、神経メカニズムの話しです。

お腹の場合は内臓感覚というのですけれども、内臓の動きを感じて嫌だなぁとか思うわけです。喜びっていうのも体の変化です。
例えば、怖い心臓ドキドキと楽しい心臓ドキドキがありますね、嬉しそうな感覚は全て触覚なのです。体で感じるものなんです。
体で感じるということはそこには神経があって、それがちゃんと脳に行くようになっているんです。
そこが働かなくなるというのが感じないということです。
そこが感じられないと喜びも感じないし、苦しさも感じない。
あまりにも苦しい状態が長く続くと、人は感じなくなってしまう。感じないことで、そのストレスを乗り越えようとする。

感じないようにすることで、自分の中に自分がいなくなってきます。
乖離というのですが、これが酷くなると、もう1人の自分が現れます。これがいわゆる多重人格症状です。
体の感覚が、別の物になっちゃう。

そこまでいくと、ものすごく大変なんですけど、乖離っていうのは自分が自分じゃないような気がする。例えば、以前は美味しく食べていたものも今ではあまり美味しく感じない。以前は野球観戦で楽しかったものが今ではそこまで楽しくない。挙げ句の果てには自分は何のために生きているんだろうか等。
そういう感じないという方も居るので、許容量があって、大きな音、ストレス、変化に対して大丈夫な人もいるし、感じないという事で、ストレス、変化、刺激を受け取らないようにする。だから、一見すると症状があまりないように見えるんですけど、体は大変な事になっている。
例えば、普通、火に手を近づけるとします。普通ならば火傷をしないように手をすぐ離すのですが、熱さを感じないと、手を離す事がないので、どんどん火傷が広がり、燃えていってしまいます。
つまり、感じないという事は危ないのです。

5.フリーズ状態とは何か?

参加者:「苦しくても涙が出ないというのもその状態に当てはまりますか?」

その状態になりつつあります。
じゃあ涙が出ない状態が本当に悪いことなのかというと、もう一つありまして。
自律神経というのは働きが3つに分かれていまして、ストレスが少ないと副交感神経が働く。多いと交感神経が働く。
それ以上に多くなると、古いタイプの特殊な副交感神経が働きます。
副交感神経は良好な関係を作ります。
僕にじーっと見られたらどうです?
あ、いま笑いましたね。笑
じーっと見られるのはストレスですよね。ちっちゃいストレスなんですよ。
これは笑うことで良好な関係を作ろうとしてストレスを乗り越えようとするんです。
逆に私がドンと押したりします。
それは強いストレスですよね。そうするとどうしますか?

参加者:「逃げます」

逃げるでしょ。
この交感神経は戦うか逃げるかという選択をして選んでいます。
人によってはやり返してくる人もいます。
ストレスが小さいと笑ったりするんだけど、大きいと戦ったり、逃げたりする。
それ以上に大きいとどうなるかというと、フリーズします。
凍りつきですね。凍っちゃうんです。

これが、悲しすぎて涙が出ないっていう事です。
ストレスが大きすぎて、もう怒ることも悲しむ事も出来ない。下手すると失神します。
ちなみに、うつの方っていうのは、恒久的なストレスでフリーズ領域まで来てしまった方の事を指します。だから何も出来ないんです。
その人達に気合いだなんて言っても無理なんです。

ストレスを受けたときに交感神経の領域が狭くなってしまうとフリーズ領域が広がり、対処出来なくなってしまいます。
なので、交感神経の領域を広げてあげることが大切です。
しかし、交感神経の領域が広がっても、それ以上のストレスがあれば別です。
麻酔がなかった時代はそのまま手術したんですね。
でも、大体の人は痛みで失神しちゃうんです。
痛みで失神しちゃうと、痛みを感じなくなります。悲しみを感じないのと一緒です。
ですので、フリーズ領域にいた方がいい場合もあります。
生物学的には、とても大きなストレスがあるときにはフリーズ領域にいないと気がおかしくなってしまいます。
でも、通常なら対処できることがフリーズしちゃうって事は、社会的にあまり良い状態とは言えない。
例えば、コラ!って職場で怒鳴られたら、挽回するために頑張るのが交感神経の働きなんだけども、フリーズしちゃったらそれも出来ない。
交感神経は戦うか逃げるかなので、簡単に言うと今の世の中ではあまり賞賛されないんですよ。
だから、やっちゃっていいの?ってさっき言いましたけども、本当はやっちゃった方がいいんですけども、相手にやっちゃダメですよ。
賞賛されないことなので、どうしてもここはやっちゃいけない。
良好な関係を作らなければいけないという風に話を進めようとするんですけど、自律神経的には無理な話なんですよ。