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終章 自律神経のしくみ

交感神経と副交感神経のシーソーのような関係

 交感神経と副交感神経はシーソーのような関係になっています。
交感神経と副交感神経の働きをわかりやすく図にしましたので、下記をご覧ください。

 

交感神経
(動く神経)
副交感神経
(休む神経)
脈拍 速くなる(血液を早くたくさん流すため) 遅くなる(必要以上に流す必要はなくなるため)
血管 細くなる(血液をより早く遠くに運ぶため) 広がる(血液を体の隅々まで送るため)
血圧 高くなる(血液をよりたくさん流すため) 低くなる(組織に負担をかけずに血液を流すため)
唾液 量が少なくなる(食事をするどころではない) 量が多くなる(食事をするのに適した状態にするため)
胃腸 動きが悪くなる(胃腸の動きより筋肉に動きを優先するため) 動きが活発になる(食べたものを消化し、必要な栄養素を吸収し、不必要なものを排泄するため)
瞳孔 大きくなる(光を取り入れ、より見えやすくするため) 小さくなる(副交感神経が働く時には、光は最小限でよいので縮まる)
血糖値 高くなる(エネルギー源である糖分を増やそうとするため) 低くなる(必要以上に流す必要はなくなるため)
ホルモン アドレナリン・ノルアドレナリンが分泌 アセチルコリンが分泌
呼吸数 多くなる(多くの酸素を必要とするため) 少なくなる(酸素は必要最低限で足りる)
免疫 顆粒球が多くなる(免疫が弱くなる) リンパ球が多くなる(免疫が調整される)

 

 交感神経と副交感神経はシーソーのような関係になっています。
交感神経が働くと副交感神経は働けなくなり、交感神経が働かなくなると副交感神経は働けなくなります。

 

 つまり、脳や体を動かしたり働かせたりしている時には、脳や体の修復ができないのです。

 

 カーレースなどの車のレースを思い出してください。
人間でいえば、車が走っている時は交感神経が働いているのと同じです。
そしてピットインして給油をしたり、壊れているところを直したりする時は、副交感神経が働いているのと同じです。

 

 あなたは車を走らせながら、給油をしている車を見たことがありますか?
そんなの見たことないですよね。
そうです、そんなこと無理なのです。

 

 これは人間も同じです。
働きながら休むことはできません。
当然、修復もできないのです。

 

 現代人はストレスがとても多く、また働きすぎでもあります。
つまり交感神経ばかりが使われていて、副交感神経が使われていません。
交感神経を使って体や脳を動かしたら、必ず副交感神経も使って脳や体を休ませ修復させなければなりません。

 

 しかし、自律神経失調症やうつ病になる多くの方は、ピットインせずに自分の体も心も走らせっぱなしにしています。
これでは壊れないほうがおかしいですよね。
つまり、自律神経失調症やうつ病の方は「ピットイン不足」なのですね。
今まで一心不乱に体や心を使ってきてしまったのですから、ゆっくりとピットインして休んでください。