第4章 自律神経失調症・うつ病の対策 ストレス別
化学的ストレスへの対策

空腹時の甘いものを断つ

 低血糖症の項でお伝えしましたが、お腹がすいた時に甘いものを食べるのは非常に自律神経に負担をかけます。

 

 人間は甘いものを摂ると血糖値が上がります(だから元気になったような気がしてしまいます)が、人間にはもともと血糖値を上げる能力があります。
しかし、空腹時に甘いものを摂取していると、その血糖値を上げる能力がうまく働かなくなってしまいます。
ですから、お腹がすいても甘いものは食べないようにしてください。

 

 確かに最初はきついかもしれませんが、徐々に血糖値を調節する能力が回復してきて、ある程度お腹がすいても活動できるようになってきます。
お腹がすいて血糖値が下がると、行動能力も思考能力も下がります。
そのため、仕事や勉強の能率が下がるため、つい甘いものに手を出してしまいます。

 

 しかしこれをしている限り、自律神経失調症やうつ病の症状はなかなか改善しません。
ですからここが我慢のしどころです。
ここで少し間我慢できれば、血糖値を上げる能力は徐々に回復してくるため、お腹がすいても仕事や勉強の能率が下がらずにある程度は続けられるようになります。

 

 実は血糖値を上げる能力は血糖値を下げる能力の3倍もあるのです。
一生、甘いものが食べられないのではありません。
一時期だけです。
症状がなくなれば、たまには空腹時に甘いものを食べる程度のことをしても大丈夫ですから、それまで少しの我慢です。

 

 どうしても何かを食べたくなったら、急激に血糖値の上がらないものを食べてください。
例えば、バナナやリンゴなどは、血糖値が上がりにくいので、砂糖の入った甘いものよりははるかに自律神経によいでしょう。
また、どうしても甘いものを食べたい方は、食後に少しだけ甘いものを食べるようにしてください(できれば食後も食べないほうがいいですが)。

 

 食事として食物繊維を含んだいろいろなものを食べた場合は、急激に血糖値が上がらずに、徐々に血糖値が上がっていきます。
そのため食後だと、食事により血糖値が少し上がっているため、甘いものを食べても急激に血糖値が上がることはありません。
ですから、どうしても甘いものが食べたいと思う方は食後にしましょう。

 

 また、空腹時の甘いものをやめるとインシュリンの分泌量が減り、脂肪を燃焼しやすくなります。
私の患者さんの中に空腹時の甘いものをやめただけで、やせた人は何人もいます。
これは摂取カロリーが少なくなるだけでなく、インシュリンの分泌が少なくなることで、脂肪の燃焼が促進されてやせやすくなっているのです(インシュリンは脂肪の燃焼を妨げるのです)。