第4章 自律神経失調症・うつ病の対策 ストレス別
精神的ストレスへの対策

リラックスのホルモン・セロトニンを出そう!

 大豆製品という栄養の話が出てきましたので、もう一つ自律神経失調症やうつ病に重要な栄養素をお伝えいたします。
それはオメガ3という油です。

 

 油はいくつかの種類に分けられますが、その一つにオメガ3という種類があります。
オメガ3の油に、リノレン酸という油があります。
このリノレン酸は、脳の神経細胞を正常化させるという報告があり、うつ病などに効果があるといわれています。

 

 リノレン酸は、サバやイワシなどの青魚や亜麻仁油などに含まれていて、体内に入るとDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という物質に変化し、血管拡張、血流増進、心拍数減少(これらは休む神経の働き)、神経細胞の機能の正常化などの作用があるといわれています。

 

 昔から日本人は魚を多く食べていたのですが、現代は肉食に偏る方が多く、リノレン酸の摂取量が少なくなってきました。
このことも自律神経失調症やうつ病が増えている原因の一つでしょう。

 

 ちなみにリノレン酸は、体の中でDHAやEPAに変化するのなら、最初からDHAやEPAのサプリメントを摂ったほうがいいと思う方もいるかと思います。
しかし私の考えとしては、食べられるのなら、できるだけ食品から摂ったほうがいいと思います。

 

 おそらくサプリメントなどの純度の高い栄養素に体が慣れてしまうと、食品から必要な栄養素を消化吸収する力が衰えてしまう可能性が高いと思われます。
また自然の食品には、まだ科学的に発見されていない栄養素や、効果が解明されていない栄養素も含まれている可能性があります。
できるだけ自然の形で食べたほうがいいでしょう。

 

 また、魚を食べる場合、妊婦の方は食物連鎖が低い魚をおすすめします。
つまり、マグロよりもアジなどをおすすめします。
最近の魚は、水銀などが多少含まれています。
食物連鎖の高位になればなるほど水銀などの含有量が多いので、妊婦や授乳中の方は、あまりたくさん食べないほうがいいでしょう。

 

 また、脳が成長中にある胎児は、多くのリノレン酸を必要とし、胎盤を通して母体からリノレン酸を優先的に吸収することになります。
そのため、母体に十分なリノレン酸が備蓄されていないと、妊婦自身がうつ病状態になりやすくなります。

 

 さらに、出産し母乳を授乳するようになっても、乳児の脳の成長にリノレン酸は必要不可欠なので、摂取量を増やすことをおすすめします。
産後は母子ともにリノレン酸の量が少なくなりがちなのです。
産後うつ病にならないために、また、お子さんの脳の成長のためにリノレン酸を多めに摂取しましょう。

 

 また、オメガ3(リノレン酸)とは逆に、自律神経失調症やうつ病の方はもとより、多くの人があまり摂らないほうがいい油もあります。
それはオメガ6という油です。

 

 オメガ6は、体に炎症反応を起こします。
炎症が体の中で起こると、動く神経も過剰に働きやすくなるからです。
そのため、自律神経失調症やうつ病の方はオメガ6をなるべく摂らないようにするのがいいでしょう。

オメガ3
  • サバ
  • アジ
  • イワシ
  • タラ
  • 亜麻仁油
  • シソ油 など
オメガ6
  • 牛肉
  • 豚肉
  • サラダ油
  • バター など