第4章 自律神経失調症・うつ病の対策 ストレス別
精神的ストレスへの対策

自律神経の反応を使ったリラックス法

 

 さて、それではこの自律神経の反応を使って気分がリラックスできる方法をお伝えしておきましょう。

 

 まずは静かな場所に移動してください。
次に楽な姿勢をとってください。
イスに座ってもかまいませんし、横になってもかまいません。
もちろん立っていてもかまいません。

 

 そして、一文読むたびにその内容を考えてみてください。
一文読むごとに目を閉じていただいてもいいですし、開けたままでも結構です。
それでは始めてください。

 

 まずはあなたが、今までに一番リラックスした時のことを思い出してください。
あなたがリラックスできたその状況には、何が見え、何が聞こえるでしょうか? リラックスしているあなたはどこにいましたか?

 こんなことを少し思い出すだけでリラックスすることができるのですが、あまり最初からリラックスしすぎないでくださいね。
思い出していれば、深~くリラックスできますので焦る必要はありません。

 あなたが今までに一番リラックスできた状況を思い出し続けてください。

 さて、あなたが思い出したのは画像でしょうか?
それとも感覚でしょうか?
それとも音声でしょうか?
どれでもよいのですか、そのそれぞれを詳しく説明してみてください。

 例えば画像の場合、あなたのリラックスできたイメージはカラーに見えるでしょうか?
それとも白黒に見えるでしょうか?
またその画像は映画のように動いている動画でしょうか?
それとも写真のような静止画でしょうか?

 次は、その画像を見ながら感覚を思い出してください。

 皮膚にはどんな感覚があるでしょうか?
温かい感じがしますか?
それとも涼しい感じがしますか?
風があたっているような感覚や日差しがあたっているような感覚はあるでしょうか?
また、誰かと触れている感覚はあるでしょうか?
音はどうでしょうか?
音は何か聞こえますか?
波の音、風の音、声や音楽は聞こえますか?

 あなたが詳しく思い出すほど、リラックスが得られることに気づいてくると思います。
あなたはこのリラックスを継続させたいと思いますか? もし継続させたいと思う場合は、読み続けてください。

 それでは次に呼吸に意識を向けてみてください。
自分の呼吸がいつの間にかゆっくりとリラックスしている呼吸になっているのに気づくと思います。
それはあなたがリラックスできている証拠です。
呼吸がゆっくりになってきましたら、息を吐く時にその息と一緒に無用な力が抜けていくのを感じてみてください。

 

 さて、どうでしたか?
リラックスできましたでしょうか。

 

 先ほどいいましたように、自律神経は想像と現実の区別がつきません。
つまり、今あなたがリラックスした状況を十分に想像できていれば、あなたが仕事場にいるとしても、休む神経が働いて、十分にリラックスできるのです。

 

 今、リラックスできる場所を想像していた時に、嫌なことは思い出しましたか?
きっと思い出さなかったと思います。
また、たとえ嫌なことを思い出したとしても、すぐにリラックスできた記憶に、思考が戻っていることに気づいたと思います。

 

 自分からリラックスできる環境を十分に想像すれば、嫌なことや仕事などの緊張することを想像できなくなります。
この時のコツとしては、五感(視覚・聴覚・皮膚感覚・嗅覚・味覚)すべてで何を感じているかを一つずつ想像しながら感じてみることが大事です。

 

 何が見えるか・何が聞こえるか・何を感じるか・何のにおいがするか・何の味がするか(リラックスの想像がものを食べている人や何か飲んでいる方もいるでしょう)などをイメージしてみてください。
想像がリアルであればあるほど、リラックスでき、休む神経がたくさん働けます。
より具体的に細かく想像しているものを一つずつ言葉にすることがコツです。
寝る前などが最適で、特に不眠症の方にはおすすめします。

 このように自律神経は主人公がわかりません。
ですからホラー映画や格闘技などを見ると、見ている人の自律神経は、あたかも自分がホラー映画の中の主人公のような反応を起こしたり、まさに今、格闘しようとしている選手のような反応を起こしたりするのですね。

 

 体や脳が元気な時は、それがいい刺激になるのですが、自律神経失調症やうつ病の方は、大きな精神的ストレスになります。
特に症状がひどい時はホラー映画や格闘技やスポーツ観戦なども控えたほうがいいでしょう。