うつ病・自律神経失調症 治る人 治らない人
第2章 自律神経失調症・うつ病の特有な症状

めまい・耳鳴り・難聴・乗り物酔い

 自律神経失調症やうつ病で耳に関する症状は、めまい・耳鳴り・難聴、また、乗り物酔いがしやすくなるという症状があります。

 

 めまいは、天井がグルグルするめまいと、フワフワと歩いているようなめまいがあります。
人間の体はストレスを感じると、自律神経が乱れて動く神経が過剰に働きます。
動く神経は血管を細くする作用があるのですが、動く神経が過剰に働くと血管を必要以上に細くしてしまうのです。
すると血液の流れが悪くなり、耳の内部に血液が届きにくくなるのです。
それがめまい・耳鳴り・難聴・乗り物酔いがしやすいなどの原因と思われます(耳や脳に検査で異常がない場合)。

 

 体の各部は、血液が運んでいる酸素や糖分などを燃料として動いています。
そのため、血液の流れが悪くなり、流れてくる血液の量が減ると、そこの部分はうまく働かなくなってしまうのです。
それが耳の内部で起こるとめまい・耳鳴り・難聴につながるのです。

 

 また、内耳の血液の流れが悪くなると平衡感覚が弱くなることから、乗り物酔いなどもしやすくなります。
ひどい時は、気持ちが悪くなったり吐き気や嘔吐などの症状が出る方もいます。
このような状態のめまい・耳鳴り・難聴などの多くは、耳鼻科のお医者さんに診てもらっても、異常はありません」といわれることがほとんどです。
もしくはメニエール病といわれる場合もあります。

 

 メニエール病とは、耳の中にリンパ液がたまる病気です。
私はこのメニエール病も、自律神経失調症だと思っています。
なぜメニエール病も自律神経失調症で起こるのかというと、自律神経が乱れて動く神経が過剰に働くと、体のどこかで炎症を起こるのです。
そして炎症が起こる部分には、水分がたまりやすくなるのです。
リンパ液(水分)が耳の中でたまるということは、そこで炎症が起きているのですね。

 

 めまい・耳鳴り・難聴などが起きた場合は、耳鼻科と脳神経外科に検査をしてもらってください。
病院で検査して特に異常がなければ、耳や脳が原因ではなく自律神経の乱れが原因です。
ですから自律神経の乱れを整えれば、単なるめまいもメニエール病も自然と治ってくると考えられます。

 

 また、めまいには耳鳴りや難聴を伴うことがあります。
これは、めまいを感じる場所のとなりに音を感じる場所があるためです。
どちらかの血液の流れが悪いと、そのとなりも血液の流れが悪くなる可能性が高いわけですね。

 

 次に耳鳴りのことですが、耳鳴りが起こるメカニズムは、残念ながらまだはっきりとは解明されていません。
しかし、自律神経が乱れることで他の神経が乱れることはよくあります。
そのため、神経の乱れが耳鳴りを起こしていると考えられます。

 

 また、難聴からも耳鳴りを起こす場合もあります。
自律神経の乱れにより起こる難聴は、音がこもるような症状(飛行機に乗った時の耳の感覚)の方が多いです。
これは耳管(じかん)という耳の空洞と鼻の空洞をつなぐ管が、うまく開かなくなっている状態といわれています。
耳管が開かない状態ですと、鼓膜の内側の空気と外側の空気圧のバランスがとれず、鼓膜がまっすぐ張れなくなってしまうのです。

 

 音は鼓膜を振動させ、その振動を感知して私たちは音として認識しています。
そのため、鼓膜がピンと張れないと音がこもり、聞こえづらくなってしまうのです。
シワシワの太鼓を叩くと、響く音ではなくこもるような音がするのと同じですね。

 

 また、耳管解放症といって、耳管が開きっぱなしになることもあります。
この場合、めまいや耳鳴り、また、音がやたらと響いたりして不快な思いをします。
原因は脳卒中の後遺症もありますが、自律神経の乱れでも起こります。