うつ病・自律神経失調症 治る人 治らない人
第2章 自律神経失調症・うつ病の特有な症状

ノドの違和感・ノドの渇き・飲み込みづらい・ヒステリー球

 自律神経失調症やうつ病の症状はノドにも出る場合もあります。
ノドの違和感とは、ノドに魚の骨が引っかかっているような感覚や、何かコロコロした玉のようなものがノドにある感覚です。
これはヒステリー球とも呼ばれます。

 

 原因は動く神経が強くなりすぎたことです。
動く神経が強すぎると、ノドが締められるような感じになる時があります。
これは「息苦しい」という感覚にもつながります。
ノドが締められることで、ノドの内面同士が触れ合い、何かがノドにあるような感じがするのだと考えられます。
耳鼻咽喉科に行ってノドの奥まで診てもらっても何もない場合は、この症状に当てはまると思います。

 

 次にノドの渇きですが、ノドの渇きは動く神経が強くなると起こる反応です。
人前で話したりする時にノドが渇くことがありますよね。
これは動く神経が強くなり、唾液(つば)の分泌が減少したからです。
普段から口がよく渇く方は、自律神経が乱れて動く神経が強くなりすぎています。
この唾液の少なさは、食べものを飲み込みづらくさせてしまいます。

 

 さらに先ほどご説明したノドの狭窄感も飲み込みづらくさせてしまいます。
そのうえ、自律神経失調症やうつ病は、脳神経の働きが微妙に低下していますから、飲み込む動作の指令を送っている神経の機能も低下して、さらに飲み込みづらくさせてしまうのです。

 

 自律神経失調症やうつ病の場合、食道にも影響が出ます。
食べものはノドで飲み込んだ後、食道を通り胃に行くのですが、この食道も飲み込むという動作をノドに続いて行っています。

 

 実は、食道の入口と出口は働く神経がまったく違います。
食道の入口は、あなたの意識で動かせます。
しかし、食道の出口はあなたの意思では動かせない自律神経が動かしているのです(自律神経は心臓などを動かしているのですが、心臓は自分の意識で動かしたり止めたりできないですよね)。
つまり、あなたが飲み込もうとした時に、食道の入口はノドと一緒に食べものを飲み込もうしてくれます。

 

 しかし自律神経が乱れていると、食道の出口はあなたが飲み込もうとする動作と一緒に動いてくれないのです。
つまり、食道の入口は食べものを飲み込み、食道の出口は食べものを飲み込まない状態となります。

 

 そのため、感覚としては胸とお腹の境目あたりに何か食べものが詰まっている感覚や、飲み込み切っていない感覚があります。
ノドでは飲み込めたけれど胸で飲み込めないという感じです。

 

 ノドの飲み込みづらさと胸での飲み込みづらさが重なると、食べものを水分で流し込みたくなるような気持ちになります。
しかし、これをすると胃液が薄まり消化不良になります。

 

 自律神経は食道の出口だけでなく胃も動かしています。
そのため自律神経が乱れると、胃の調子も悪くなりやすくなります。